関係団体の紹介

スロヴェニア日本ビジネス協会

【25周年記念冊子】

 

Aleksander Mervar (アレクサンドル・メルバル)  スロベニア-日本ビジネス協会会長
 

 ○ ひたむきな努力が結実
 
 日本との外交関係樹立25周年にあたり、実現できたかもしれない内容や我々の希望について空疎に響く言葉を述べる必要はないと思います。両国間の経済協力の分野で成し得た結果を列挙することは難しい作業ではありません。あらゆる分野で経済協力が発展し、希望に沿った形で進展してきたと自信を持って申し上げることができます。誇張ではなく、両国がこの経済協力の水準に満足していると言えるでしょう。
  
 ロボット工学の分野では、スロベニアはヨーロッパにおいて重要な位置を占めるようになっています。安川電機のさまざまな活動については既に紹介されています。産業用ロボットの世界最大メーカーがスロベニアにヨーロッパ工場を設立することは大きな成果であり、また、この分野に長年従事してきた人々のみならず、スロベニアの科学および教育システムが認められたことを証明するものです。優れたエンジニアがいなければ、ロボット工学は成立しません。ロボット工学は、既に開始している第4次産業革命を構成する重要な要素の1つです。安川電機の他、日本のロボットメーカー2社が既にスロベニアに進出しています。レンダバに工場を持つダイヘン、アドリアに拠点を置くファナックです。日本のような産業大国との協力について、さらに何か望むことがあるでしょうか?


 また、特筆すべき重要な協力分野はエネルギー部門です。スマートグリッド開発のパートナーとしてスロベニアが選ばれました。エネルギーの賢い消費は新たな産業革命の重要な一部を占めています。私が経営する会社は、新エネルギーと産業技術の開発を専門とする日本の機構にちなんで命名されたNEDOプロジェクトにおいて、日立製作所との協業を順調に推進してきました。NEDOは本プロジェクトを資金面からサポートしています。我々は、高品質のエネルギーを次世代に安定して供給するシステムに向け、新たな分野をともに開拓し、基礎を構築しています。


 さらに3つ目の領域としてIT分野をご紹介したいと思います。原子核加速器のITソリューションから高度道路交通システムまで幅広い技術範囲を活用し、スロベニアの多くのIT企業が世界中で日本企業との協力関係を順調に築いています。非常に多くの協力事例があるため、IT事業に従事する企業や場所をすべて紹介することは困難です。この分野は、さらなる協力への無限の可能性を秘めているということができます。


 経済協力に関する重要な要素として、従来のモノの貿易、輸入と輸出も挙げられます。この領域でも、両国、特にスロベニア側では2桁の成長を享受してきました。日本への輸出は簡単ではありません。日本との貿易の拡大は、スロベニアの企業が優れた競争力のある製品を製造しているだけでなく、最も要求の厳しい市場で製品を販売する方法についてノウハウを保有しているということを示しています。経済協力の規模を評価することはほぼ不可能で、両国間のモノの貿易に関する統計では全体像を把握することはできません。これは、ヨーロッパに拠点を置く日本企業、または日本企業のサプライヤーであるヨーロッパ企業とのスロベニア企業の経済協力額は、この統計には含まれていないからです。


 我々は何を望み、何を期待するでしょうか?両国の高官が期待・希望する内容と同じことを私も望みます。両国における経済協力の発展に向けた政治的支援は望ましい形で進んでいます。日本・EU自由貿易協定が間もなく発効しますが、協定によって、両国の協力関係にさらなるはずみがつくと思います。また、2020年に開催される東京オリンピックはスロベニアにとってチャンスをもたらす新たな挑戦となるでしょう!いろいろ申し上げましたが、両国の協力関係がこれまでと同じように成功裏に発展し続けることを願ってやみません。スロベニア-日本ビジネス協会は実現に向けて全力を尽くします。

 

Simona Leskovar (シモナ・レスコヴァル) 元駐日スロベニア共和国大使

 

  日本・EU自由貿易協定への調印が両国間の貿易拡大に寄与
  
 2017年10月12日、スロベニア共和国と日本は外交関係樹立25周年を祝いました。両国が関心を持つ共通分野において、協力関係をさらに前進・強化することを共通の目的として、両国の友好関係は、開かれた政治対話によって実現します。
 
 近年、両国は政治的および経済的な場面で協力を深めています。2013年には2回の公式訪問が行われました。スロベニア共和国大統領による日本への訪問、そして秋篠宮同妃両殿下のスロベニアへのご訪問です。また、両国間の政治協議が定期的に行われてきました。2016年には日本の閣僚がブレッド戦略フォーラムに初めて参加しました。2016年10月にはスロベニア共和国の首相が京都と東京を訪れ、日本の首相との二国間首脳会談が行われました。この後、日本の主要企業から構成される経団連の代表者が19年ぶりにスロベニアを訪問しました。
   
 25年間の協力関係において、スロベニアは、頼りになり、信頼できる経済パートナーであり、成功を収めているという評価を日本から得ることができました。スロベニアには、複数の言語を話し、前向きで、優れた教育を受けた柔軟な労働力が豊富にあり、投資を受け入れる国であると考えられています。またスロベニアは、中央ヨーロッパという地理的な位置、内陸地域とのつながり、EU、ユーロ圏、およびシェンゲン協定の加盟国であるという理由からも、関心を集めています。スロベニアの利点として、治安が非常によく、優れたワークライフバランスがもたらす気風が挙げられます。このような利点は各種国際指標でも裏付けられており、スロベニアは日本に近いランク、場合によっては日本を超えるランクに位置づけられています。
   
 昨年10月のスロベニア首相による日本への訪問が成功したあとに、スロベニア経済に対して日本からさまざまな投資が行われました。安川電機はコチェービエに産業用ロボット工場を建設することを決定し、これにより新たな雇用が創出されます。一方、関西ペイントは塗料生産機能を高め、スロベニア工場をR&Dセンターにするためヘリオスを買収しました。両国政府の支援により、日立とELESはスマートコミュニティプロジェクトおよびスマートグリッドプロジェクトを実施する計画です。最近では、住友ゴム工業がスロベニアへの投資を決定し、医療用製品を生産する工場を新設します。2017年8月23日に発効した二重課税防止条約により、直接投資の機運がさらに高まっています。さらに、日本・EU自由貿易協定への調印は2国間の貿易拡大に貢献することでしょう。
  
 資金面で支援されてきた科学分野での学術協同では、スロベニアと日本の間で強固な関係を築いてきました。筑波大学では、過去10年間で最も重要な物理実験のうちの1つが実施されていますが、世界で最も強力な高エネルギー粒子加速器を用いた筑波大学での研究において、スロベニアの科学者が重要な役割を果たしています。また、客員研究員、教授、および学生を対象にした数々の交流プログラムも実施されています。
  
 両国は同盟国であり、各種国際機関で協議されている多くの問題について志を同じくするパートナーです。両国は民主主義、国際平和と安全保障の維持、紛争の平和的解決、法の支配および国際海洋法の尊重という同じ原則を共有しています。スロベニアと日本は、国連安全保障理事会の改革、常任理事国と非常任理事国の構成国の増加などの国連改革を支持しています。優れたパートナー協力関係を示す例として、人間の安全保障の推進があります。日本は長期にわたり人間の安全保障強化のための国際信託基金(ITF)の支援国として、紛争終結国における安全保障の向上、および復興と発展を可能にするという使命を担い、強化してきました。
  
 25年にわたる相互の信頼、パートナーシップ、友好関係は、国民の直接交流によって確実に深まっています。このような直接交流は相互理解を深め、相手をより深く知ることに役立ってきました。この相互理解が両国間および多国間のあらゆる形式の協力を発展させるうえで盤石な基礎となっています。今後、2020年東京オリンピック・パラリンピック、そして観光のさらなる発展を見据え、文化、そして特にスポーツ分野での交流と協力が大きな注目を集めることでしょう。申し上げるまでもなく、さらなる貿易関係の成長の可能性も秘めています。

 

津田純嗣  株式会社安川電機代表取締役会長 / 元日本スロベニアビジネス協会理事長

 

  今後の両国の成功と発展をお祈りいたします
 
 ご挨拶

 日本・スロベニアの国交樹立25周年をお祝い申し上げると共に、記念誌に寄稿できることを心よりうれしく思います。
  
 さて、私が会長を務めるYASKAWAにとってスロベニアは欧州事業の成長のために欠かせない大切な国です。欧州進出当初、スロベニアは小さなマーケットに過ぎませんでしたが、次第にドイツの製造・エンジニアリング面でのサポート拠点としての実績を積み上げ、ロボットを使用したシステムの開発・製造拠点へと成長してきました。
  
 スロベニアは、EUの一員であるばかりでなく、中東やアフリカにも近く、製品供給の面で、地理的優位性をもっています。また、自然豊かで美しい街並みと治安もよく安全な住環境と学術環境もよく、優れた人材が集まりやすい事など多くの魅力があるのです。
  
 YASKAWAは2018年にスロベニアでロボットの新工場の稼働を開始します。今後は、欧州市場に向けた生産から始め、次には製品の開発といった大きな役割を担うことにもなるでしょう。
  
 また、私は今年から日本・スロベニアビジネス協会(JSBC)の理事長を務めています。JSBCは日本とスロベニアのビジネス上のつながりを深めることを目的とした日本の企業、個人からなる協会です。主な活動は、両国の大使館との情報交換、新たにスロベニア進出を考える企業への情報提供です。この活動を通じ、スロベニアに進出する日本企業が増え、両国の結びつきが一層強固なものになるようサポートして参りたいと考えております。
  
 最後に、この度、寄稿のチャンスをいただいたスロベニア・日本ビジネス協会(SJBC)のSkenderさんをはじめ両国大使館の皆様ならびに関係者の皆様に感謝を申し上げると共に、両国の益々の発展を祈念いたします。